事業団について 人材育成の取組み
より良い利用者支援を行うために、
事業団は法人全職場を挙げて人材育成に取り組んでいます。
基本的な考え方
- 事業団は、「利用者本位のサービスの徹底」「都立施設が担ってきた公的役割の継承」「地域連携・地域福祉向上への貢献」の3点を経営理念に掲げ、施設運営に取り組んでいます。
- 都立施設がこれまで培ってきた利用者支援の技術・ノウハウを継承し、質の高いサービスを安定的に提供していくためには、今後もより一層サービスの質の向上と経営基盤の充実・強化が重要です。
- また、事業団が選ばれるサービス提供者としてあり続けるためには、法改正の動向や社会変化に適切に対応するとともに、職員一人ひとりの意欲と能力を最大限引き出し、資質を高める必要があります。このため、事業団では「人材育成の充実強化」を経営方針に位置付け、(1)OJT (2)OFF - JT(研修)(3)自己啓発支援を「人材育成の3本柱」に掲げ、組織運営力や実行力(業務遂行力)など職員に求められる能力や利用者本位のサービスの徹底に向けた知識及び専門性の向上を図るなど、事業団全職場を挙げて人材育成に取り組みます。
人材育成の3本柱

1. 職務を通じた「OJT」
- OJT(On the Job Training)とは、管理・監督者(職場の上司や先輩)が、職員の能力開発・育成のために、計画的かつ継続的に日常の仕事を通して(又は仕事に関連させて、どこでも、あらゆる機会を利用して、知識・技能・能力・態度等の向上について職員を指導し、教育訓練を行うことです。
- 人材育成は、職場での日常の業務遂行を通じて行うOJTが基本であり、職員一人一人の能力と意欲を高める効果的な手法です。
- 事業団では、福祉人として必要な利用者支援や担当業務における「専門性」と、組織管理・人材育成などマネジメント力、すなわち「組織性」の双方を育成出来るため、「人材育成の基本」と位置付け、「事業団職員OJT指針」や「事業団新任職員育成担当者(チューター)制度実施要綱」に基づき、すべての施設でOJTを推進しています。
さらに、OJTを推進する体制を強化するため、次のような取組を行っていきます。
- より一層効果的なOJTの実践が図れるよう、職層に応じた「到達目標」と「求められる能力」について、職員と上司双方で達成度合いや習熟度合いについて確認を行うしくみを導入し、運用を図っていきます。
- 新任職員育成担当者(チューター)や職場におけるOJTの推進状況を把握し、OJTの取組が継続的に実施される風土づくりを行うOJT推進担当者等への研修の充実を図るとともに、外部専門家等スーパーバイザーによる指導等を実施するなど、「育成を担う人材」の育成についても取り組んでいきます。
- チューター、OJT推進担当者の役割・位置付け等を園内で明確にする「見える化」の推進や研修委員会との連携強化などにより、事業団全体でかつ園全体でOJTの推進に取り組む環境の整備に取り組んでいきます。
2. 計画的・効果的な研修の実施「OFF – JT」
- 職員研修は、職務上必要とされる知識・能力を職員に効率的かつ体系的に習得させることにより、組織能率を高めていくことを目的としており、人材育成を推進していくうえで重要な役割を担っています。
- 職員の職務能率の発揮・増進のため、以下の通り研修の基本方針を掲げ、本部事務局と園との役割分担の下、十分連携を図りながら、職層に応じた育成目標を明確にし、体系的な研修を行っていきます。
ア. 内部研修
事業団研修
- 職層別研修
「職層別研修」は、職員に期待される役割と責任を果たすため、職層に応じた基本的知識・能力を昇任時等に付与するとともに、自立的な経営を推進するため、組織運営力(マネジメント力)等の向上を図ることを目的として実施していきます。
【職層別研修のメニュー】
新任研修(正規、契約・非常勤)/1級職研修/2級職研修/サブマネージャー研修/マネージャー研修/管理職研修 - 課題別研修
「課題別研修」は、多様化する課題への対応や専門性向上を図ることを目的として実施しています。事業団が直面する多くの課題や技術向上に向けて、適宜、メニューを追加するなど、柔軟かつ的確に実施していきます。
【課題別研修の主なメニュー】
利用者支援向上研修/施設間相互派遣研修/虐待防止研修/汚職等非行防止研修/人権研修/情報セキュリティ・個人情報保護研修
職場研修(各園研修)
- 職場研修は、各園に配属された新任職員及び転入職員に対する研修を行うとともに、園の特性や利用者の状態にあわせた利用者支援の知識・スキルの向上を図るため、各種の専門研修を実施しています。
- 新任職員及び転入職員研修は、園のガイダンスや職場のルール、心構え、利用者支援の基礎知識等について実施します。特に、新任職員については、福祉人としての価値観や倫理観、社会人・組織人としての姿勢や態度等に関する内容を実施します。
- 寮(棟)において利用者支援を行う中堅職層(2級職)及び新任職層(1級職及び契約職員)に対し、利用者支援に関する基礎・専門知識を付与する研修を実施します。
- 引続き、外部専門家を招へいしての実践型形式の研修やベテラン職員を講師とする支援技術・ノウハウを継承する機会の拡大を図り、専門性のさらなる向上を図ります。
- 本部事務局と各園が連動した取組が行えるよう、毎年度研修実施計画策定の段階から重点育成項目や研修メニューの役割分担について情報を共有しあい、効果的な研修を実施していきます。
【職場研修(各園研修)における必須メニュー】
新任職員研修(常勤・非常勤)/転入職員研修/利用者支援等の専門性向上を目的とした各種研修
イ. 外部研修(外部団体主催研修の活用)
- 外部研修は、内部研修では研修講師の確保が困難なケースなどにおいて活用を図ることにより、効率的に能力やスキルの向上が図られるとともに、民間法人施設職員等との連携づくりの機会ともなります。
- 東京都社会福祉協議会等外部団体が主催する研修の積極的な活用を図り、効果的な人材育成を行います。
- 外部研修や事業団研修等を受講した職員は、自らの能力・スキル向上の機会に留めず、各職場において研修報告会等報告の場を設定し、各園・各職場におけるフィードバックを徹底していきます。
- 管理職との自己申告の場などを活用しながら、個人別の研修受講計画を策定するなど、育成目標を上司と共有し、到達度合いを確認しながら進めていきます。
ウ. 研修報告会の徹底等
エ. 研修受講計画の策定と育成目標の共有
3. 自己啓発に対する支援
- 職職員の「自ら育つ」意識を引き出し、自己啓発の機運を高め、自学を促す職場風土を醸成するため、社会福祉士、介護福祉士などの資格取得や組織運営、リーダーシップ、問題解決・論理的思考等をはじめとする各種通信教育講座の受講に対して支援を行う「自己啓発支援制度」など、自己啓発に対する支援を実施していきます。なお、支援内容については、適宜見直しを行っていきます。
- 本制度の利用促進に向けて、職員に対する制度周知の徹底や効果のPRなどを行うとともに、自己啓発支援に取り組みやすくするよう勤務調整を行うなど職場の理解・協力を一層高めていきます。
- また、QCサークルなど自主勉強会への場所等の提供や自己啓発に取り組みやすい職場の理解促進を図っていきます。
【支援内容】
経費支援(補助)/資格取得(社会福祉士、介護福祉士等)/通信教育講座受講(コミュニケーション、リーダーシップ等)の経費に対する支援/資格取得のための学習や試験に取り組める時間及び環境面の支援/(職務免除、自己啓発に取り組みやすくするよう職場の理解(職務調整等))/場所の提供/自己啓発を行う職員やグループの活動場所となる施設・設備の提供人材育成マネジメントサイクルの運用
- 育成計画に基づき人材育成の取組を実施し、職場での実践結果を計画に照らし合わせて確認を行い、必要に応じて処置改善を行う「1.計画 → 2.実践 → 3.確認 → 4.改善」の人材育成マネジメントサイクルを運用します。
- 「人材育成マネジメントサイクル」の効果的運用を図るため、各職員の到達目標に対する達成度合いについて、職員・上司が相互にチェックを行うしくみを活用していきます。
- 職員は、OJTや研修等による専門知識・スキル等の習得・習熟状況について確認することが出来るため、自己肯定感の向上や新たな目標を設定することが容易になるとともに、管理監督者は、職員の能力伸長・発揮の度合いを確認することにより、課題の設定や指導育成をより適切に行うことが出来ます。
本部事務局・各園との役割分担
- 事業団では、効率的かつ効果的な人材育成を推進するため、本部事務局と各施設の役割分担の下、各種の取組を行っています。
- 本部事務局は、長期的な視点に立って人材育成を行えるよう制度面の整備を行うとともに、職員全体に共通する事項・課題等に関する研修を実施しています。
- 各園は、職員一人一人の状況を把握しながら、職務を通じたOJTに園を挙げて取り組むとともに、園の特性や利用者の実態に即した実務的な研修を実施しています。
キャリアプラン
入職後の流れは以下のとおりとなります。
正規職員
職級 職名 職責 キャリア
アップ年数
昇任選考
資格基準5級 園長/ジェネラルマネージャー 【施設経営の総括】
・理事長の命を受け、施設経営の総括を行う。
・管理職の業務量に応じて、施設長の他に、課長等を配置する。ー 4級 マネージャー 【監督業務】
・園長(または課長等)の命を受け、各部門(支援部門、管理部門等)を統括し、所属職員を指揮監督する。管理職選考(職制選抜)で5級へ 4年以上 3級 サブマネージャー 【指導業務】
・グループの責任者として、担当業務を統括し、一般職員の指導的役割を果たす。
- ・上司の指示により、グループをまとめ、困難な課題に対し、問題解決にあたる。
マネージャー職選考(職制選抜)で4級へ 3年以上
(2年以上※1)2級 一般職員 【判断業務】
・実務に関する比較的高度な知識及び経験を基に、応用的判断を要する業務を遂行する。
・自己の経験を生かし、1級職及び契約職員の指導を行う。サブマネージャー職選考(本人申込制)で3級へ 3年以上
(1年以上※1)1級
※2一般職員 【定型業務】※3
・通常の業務に精通し、日常の定型業務を独立して遂行する。
・自らの業務について、問題解決技法を身につけ、業務の改善や問題解決を実践する。2級職選考(本人申込制)で2級へ 2年以上
(1年以上※1)
※2 正規職員選考合格者は1級からスタート
※3 契約職員と正規職員1級は、同等の業務契約職員
職名 職責 キャリア
アップ年数
昇任選考資格基準契約職員 【定型業務】※3
・通常の業務に精通し、日常の定型業務を独立して遂行する。
・自らの業務について、問題解決技法を身につけ、業務の改善や問題解決を 実践する。正規職員採用選考
(契約職員1年目から受験可)で1級へ ※41年以上
※4 正規職員採用選考は、毎年度1回秋に実施される。面接のほか、所属長推薦を活用。過去の実績では契約職員の雇用期間3年間に約9割の方が合格しています。
- 育成計画に基づき人材育成の取組を実施し、職場での実践結果を計画に照らし合わせて確認を行い、必要に応じて処置改善を行う「1.計画 → 2.実践 → 3.確認 → 4.改善」の人材育成マネジメントサイクルを運用します。